家族や住民の見送りを受けて出港する中型イカ釣り船=能登町小木港

家族や住民の見送りを受けて出港する中型イカ釣り船=能登町小木港

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中型イカ釣り船 大和堆へ、小木港を出発

北國新聞(2021年6月7日)

 石川県漁協所属の中型イカ釣り船6隻が6日、拠点の能登町小木港を出発し、日本海でのスルメイカ漁に向かった。能登半島沖の好漁場「大和(やまと)堆(たい)」周辺では既に例年より多い違法操業の中国漁船が確認されている。資源量の減少が続く中、乗組員は「大型の中国船は根こそぎイカをとっていく。国には厳しく取り締まってほしい」と安全確保を求め、緊張感を漂わせた。
 午前11時の第18興洋丸を皮切りに、第68徳洋丸、第28寶來(ほうらい)丸、第18白嶺丸、第68日章丸、第86永宝丸が順に出港した。大和堆の南西付近で操業を始め、来年1月までスルメイカを追う。
 港では、乗組員の家族や地元住民らが船体に結び付けた色とりどりの紙テープを持ち「頑張って」「行ってらっしゃい」と声を掛け、手を振って見送った。大漁旗をはためかせた船は声援に応えるように汽笛を響かせ、スピーカーから演歌やアイドルグループの曲を流しながら港を後にした。
 大和堆周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内では違法操業の中国漁船が年々増加し、昨季は一部海域で操業自粛を余儀なくされるなど漁獲量に影響を与えている。県漁協小木支所の昨季の水揚げ量は2232トンと過去10年で3番目に少なく、低水準が続く。
 今季も中国漁船が確認されており、水産庁は今年1~5月、中国漁船に対し、前年同期の約6倍となる延べ320隻に退去警告を出すなど警戒を強めている。
 小木船団の副船団長で第18興洋丸の持平祐治船長(58)は「不安はあるが、乗組員の生活がかかっており、行くしかない。国の取り締まり強化に期待したい」と話し、第68徳洋丸の平塚秀樹船長(68)は「日本の海域に中国船がいること自体おかしい。国はしっかりしてほしい」と注文した。
 県漁協小木支所の山下久弥運営委員長(65)は「中国漁船が増えると操業できなくなり、死活問題だ。国には臨検、拿捕(だほ)など厳しく対処してほしい」と求めた。
 県漁協所属の中型イカ釣り船は11隻で、別の2隻も今月中に出漁し、計8隻がスルメイカ漁に当たる。残り3隻は5月から北太平洋でアカイカ漁に従事しており、秋ごろまで操業した後、スルメイカ漁に合流する。
 新型コロナの影響で今季受け入れ予定のインドネシア人技能実習生12人が来日できず、各船7~9人の乗組員での船出となった。

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