甘酸っぱい素朴な味と、しゃきしゃきした食感が特徴の奥越の伝統料理「すこ」作りが福井県大野市内の加工場でピークを迎えている。
すこは里芋の一種「八ツ頭(やつがしら)」の赤芋茎(ずいき)の酢漬け。報恩講などの精進料理で、一般家庭でも作られている。
同市稲郷の上田農園加工場では8月初め、製造を開始した。上庄地区で育った長いもので1メートルほどの芋茎を水洗いし専用の機械で3センチほどに切断。脱水、からいりした後、砂糖と酢で味付け。1週間ほど寝かせて味をじっくり染みこませると、深い赤色になる。
25日も甘酸っぱい香りが加工場に広がる中、従業員の女性が手際良く作業を進めていた。今年は9月10日までに約2・5トンを製造、県内スーパーなどに出荷する。
工場長によると、今年は芋茎の生育が良く、品質もまずまずという。「芋茎の生産者らの高齢化が進んでいるが、みんな昔ながらの味を届けたい、と頑張っている。若い人にも食べてもらいたい」と話している。