阿智村清内路に江戸時代から伝わる県無形民俗文化財の「手作り花火」が10日夜、下清内路諏訪神社・建神社で奉納された。新型コロナウイルスの影響で観覧は地区住民に限ったが、筒花火「大三国」のみの奉納だった昨年よりも数や種類を増やした。今年から花火作りを始めた若者は充実した表情を浮かべた。
技術の伝承のため開催を決定。下清内路煙火有志会は「2年休止の歳月は伝承への影響が大きすぎる」といい、仕掛け花火など28種類を奉納した。同会の桜井武人副会長(51)は「コロナ前の内容に近づけて行えてよかった」と安心していた。
会員たちは8月下旬から毎晩集まって火薬を作った。奉納時には降り注ぐ火の粉の中に入って「オイサ、オイサ」と掛け声を響かせる。下清内路で生まれ育ち幼少期からその光景に憧れ、今年入会した中村龍治さん(26)は首筋にやけどが残り「やっと火の中に入れてうれしい。教わった製法などを忘れずにいたい」と話した。