福井県敦賀市が昨年度に公文名で行った発掘調査で見つかった「公文名遺跡(松ノ木海道地区)」からの出土品などの特集展示が、市立博物館で開かれている。奈良時代(8世紀)の祭祀(さいし)用の土器や、鍛冶に関連するものなど約100点を展示し、同地区に鉄製品の工房と作ったものを管理する公的施設があったとみられることを伝えている。来年3月15日まで。
同地区ではアパート建設に伴い、市が今年1~2月末に約230平方メートルを調査し、竪穴式住居6棟と平地式住居1棟、掘立(ほったて)柱建物2棟が見つかっている。
祭祀用の土器である赤彩土師器(はじき)は赤色に塗られ、らせん状の模様「暗文(あんもん)」が付けられている。文字を書くのに使う「転用硯(けん)」「円面硯」や、3月以降の整理で判別された鉄製品を製作する過程で出る鉄の塊「鉄滓(てっさい)」も展示している。
市の以前の調査で見つかった「同遺跡(與門下地区)」からも同様の出土品があったため、一帯に工房と作った鉄製品を管理する公的施設があり、赤彩土師器は施設での祭りで使われていたと考えられるという。
このほか、同市中の中遺跡や同市櫛川の櫛川遺跡からの出土品も紹介している。入館料は一般300円、高校生以下無料。休館日は毎週月曜日と29~1月2、11日、2月24日。1月10日は開館。