競り落としたブリを箱詰めする漁業関係者=七尾市公設地方卸売市場

競り落としたブリを箱詰めする漁業関係者=七尾市公設地方卸売市場

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お久しブリ、七尾に活気の265本 10キロ超、市場で競りも

北國新聞(2021年12月25日)

 七尾市公設地方卸売市場に24日、今季最多となる265本のブリが運ばれた。今季は七尾、氷見沖の定置網で水揚げされるブリが不漁で、市場で競りに掛けられる数は前年同期と比べて95%減となっていた。市場には10キロ超の丸々としたブリがずらりと並び、待ちわびた「冬の主役」の登場に市場は活気づいた。

 ブリはほとんどが鰀目(えのめ)大敷網(七尾市)の定置網で水揚げさされた。

 市場では前日の7本から一転、午前8時ごろから続々とブリが運び込まれた。サイズは11キロ前後が目立ち、競りが始まると、待ってたとばかりに仲買人らの掛け声が響いた。競り値は1キロ当たり2500~5千円で、前日から3千円ほど落ち着いた。

 今季初のまとまった水揚げに、鰀目大敷網の坂本一之副社長(38)は「網を見た瞬間に大漁と分かった。本当にしびれた」と興奮した様子。同社は能登島の道の駅で飲食店を運営しており、「観光客だけではなく、地元住民にも味わってほしい」と力を込めた。

 七尾市公設地方卸売市場によると、今季は11月末からブリが入りはじめたが、1日に10本以上取引される日はほぼなかった。今月1~21日に競りに掛けられたブリは994キロで、前年同期の2万1096キロを大きく下回っている。

 石川県水産総合センター(能登町)によると、ブリは冷たい海域を避けて南下する習性がある。今季、七尾、氷見沖で不漁なのは、回遊ルートである富山湾の海水温が例年より低く、湾内に入らずに能登沖を通過しているためとみられる。

 11月1日~12月15日のブリの水揚げ量は前年同期(178トン)の15%に当たる27トンで、過去10年間で最少だった。富山でもまれに見る不漁となっている。一方、20日には福井県高浜町の和田漁港で約3300匹が水揚げされた。センターの担当者は「能登沖を通り過ぎたブリが福井の網に入った」と推測する。

 富山県水産研究所(滑川市)によると、これまでは海水温の関係から、石川、富山で豊漁の時は新潟で不漁になり、石川、富山で不漁の時は新潟で豊漁になっていた。ただ、今季は現時点で3県とも不漁が続く。

 このため、研究所は主な群れの南下が遅れているとみており、24日の七尾での豊漁はようやく群れが来た可能性があると指摘する。

 ブリは11~3月がシーズンで、ピークは年によってまちまちとなる。石川県水産総合センターの担当者は「1月から大漁になる年もある。今後に期待したい」と述べた。

 石川県水産総合センターが24日発表した漁海況情報によると、11月6日の解禁日から12月15日までのズワイガニ漁の水揚げ量は、雄の加能ガニが74トン、雌のコウバコガニは78トンだった。

 雄は前年同期(93トン)より約20%減となり、雌は前年同期(74トン)並みだった。しけが多く、出漁日が減ったため、雄、雌とも過去5年平均(雄98トン、雌92トン)を下回った。

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