長野市松代出身で新劇草創期の女優松井須磨子(1886~1919年)を語る座談会が5日、同市松代町松代の旧樋口家住宅であった。須磨子の命日のこの日に合わせ、地元のNPO法人「夢空間松代のまちと心を育てる会」が企画。参加者は波瀾(はらん)万丈のその生涯に思いをはせた。
須磨子は演出家島村抱月と芸術座を旗揚げし、「復活」の劇中歌「カチューシャの唄」で国民的人気を博した。妻子ある抱月と恋に落ち、急死した抱月を追って自死した。
講師を務めた須磨子に詳しい編集者宮坂勝彦さん(74)=千曲市稲荷山=は、須磨子と抱月は「パートナーとして互いを必要とし、新しい芸術をつくる運動の先頭に立っていた」と紹介。「若い世代にも須磨子の生涯に興味を持ってほしい」と話していた。
旧樋口家住宅では31日まで、須磨子の生い立ちから女優として成功するまでの歩みをパネル約10枚で紹介する企画展を開いている。入場無料。