長野市の善光寺大勧進で10日、恒例の大写経会(だいしゃきょうえ)があった。洗心書道会が1968(昭和43)年から毎年、正月と盆に開いてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年の正月に初めて中止し、正月としては2年ぶりの開催。参加した県内外の74人は、新型コロナの収束や自身の健康を願い静かに写経に向き合った。
参加者は、清めのために粉末状の香を手に塗り、同会の一色白泉(いっしきはくせん)会長(84)=長野市=が、須坂市の滝でくんできた水を使って墨をすった。一色さんに「慌てず、静かに書いてください」と助言を受け、手本を紙の下に敷いてなぞり書きしたり、脇に置いたりして般若心経を写した。
約40年前から参加する上田市の女性(84)は、夫との死別や新型コロナの影響で3年ぶりに訪れ「一人暮らしとなり、健康を願った」。長野市の会社役員小林巌さん(52)は「マスクを外せる日が早く来ればいい」と新型コロナの収束を思い筆を運んだ。