出来上がった冊子を紹介する石田さん=金沢市内

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金沢・近江町市場300年史「余話」完成 商人魂、人情、騒動...聞き取りまとめる

北國新聞(2022年2月6日)

 昨年、開設300年を迎えた近江町市場の、ちょっといい話やくすりと笑える話を収めた冊子が5日までに完成した。節目の年に発刊された「近江町市場三百年史」(北國新聞社制作)の余話と位置付け、古老らへの聞き取りを基に、正史に盛り込めなかったエピソードをまとめた。人情あり、騒動あり、商人魂にあふれた「市民の台所」の飾らない魅力を伝えている。

 「近江町市場三百年史余話 おみちょ伝説&近江町の不思議」と題した冊子はB5判54ページ。三百年史の編集委員長を務めた金沢中央信用組合参与の石田順一さん(69)=金沢市小立野3丁目=が「お世話になった方々に恩返ししたい」と、自費で300部を制作した。

 第1部の「伝説」では、「酒の大沢」先代社長の大澤健雄さん(90)が平成の初めにラジオ番組で語った近江町にまつわる話や、石田さんが30人近い関係者から聞き取ったインタビューの一部を収録した。

 大澤さんは、子どもたちが市場を舞台に繰り広げた鬼ごっこ兼かくれんぼ「オンカイボ」を回顧。店の屋根伝いに走って逃げ回ったり、マグロのトロ箱に隠れたまま寝入ってしまったりした、と振り返る。

 市場で生まれ、隣の店に嫁いだ「近江町っ子」である紙谷玲子さん(75)は子どものころ、場内にあったパチンコ店に仕事中こっそり出入りしていた市場人の思い出を語る。

 他にも、店の3階に市場の子を集めて児童劇団をつくった商店主や、すりを追いかけ取り押さえた魚屋の姿が生き生きと描かれる。近くにあったストリップ劇場のダンサーが買い物に来て、誘われた市場の若い衆が連れ立って劇場を訪れたいきさつなども、面白おかしく紹介されている。

 第2部「不思議」では、上空から見ると「女」の字のような形をしている市場のアーケードや、かつて場内にあった橋について、石田さんが調べてまとめた10編を収めた。

 石田さんは「どこからでも読める冊子にした。気軽に手に取って楽しんでほしい」と話した。

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