小矢部市津沢の飲食店主、浅地政博さん(72)が、同市津沢中学校の生徒たちにはなむけと感謝の思いを込め、13基のあんどんを作った。20年間務めてきた同校の武者絵講師を2022年度で終えるため思い立ち、15日の卒業式で校内に飾られる。「門出を祝い、地域も元気にしたい」と話す。
浅地さんは津沢夜高行燈(あんどん)保存会副会長を退任後、他の武者絵講師が一時体調を崩したこともあり、津沢公民館の誘いで20年前に講師となった。
他の講師2人と共に毎年10月~翌年1月に10回程度、1年生を指導した。武者絵は色使いが難しく「自分も失敗しながら学んでいった」と振り返る。
体力的な事情もあり、22年度の指導を最後に講師を退くことを決めた。卒業生の門出を祝い、挑戦することの大切さも伝えたいと考え、1月下旬からあんどんを制作してきた。
高さ76センチ、幅66センチで、色鮮やかな武者絵を描いた。女武将の巴御前や、足利尊氏を描いたあんどんもある。これだけの数を作ったのは初めてで、深夜2時ごろまで没頭した日もあった。「生徒たちもいろんなことにチャレンジしてほしい」とエールを送る。
あんどんは卒業式に向けて11日に同校に貸し出した。今後は要望があれば、津沢地域以外の行事やイベントにも無料で貸し出す。「見た人が前向きな気持ちになり、街の元気やにぎわいにもつながればうれしい」と話している。