山田の功績を伝える講談を披露する一龍齋さん。右上は黒部川電気記念館に立つ山田の銅像(合成)

山田の功績を伝える講談を披露する一龍齋さん。右上は黒部川電気記念館に立つ山田の銅像(合成)

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「宇奈月温泉の父」講談に プロが創作 お披露目

北日本新聞(2022年3月22日)

■有志が練習し観光案内

 「宇奈月温泉の父」と呼ばれる土木技師、山田胖(ゆたか)(1886~1964年)を題材にした創作講談が21日、黒部市の宇奈月国際会館セレネで上演され、トロッコ電車の敷設や温泉の活用に携わった功績を伝えた。講談を習得して観光客に披露することになっている地元の観光事業者らも熱心に耳を傾けた。

 講談の創作は黒部・宇奈月温泉観光局が企画。来年の宇奈月温泉開湯100周年を前に観光事業者らが意見を交わす中で、黒部川の電源開発にルーツを持つトロッコ電車と宇奈月温泉が別々に捉えられていることが課題との声が上がった。まずは、それぞれの礎を築いた山田の功績を見つめ直すことで一致した。

 映像作品も検討したが、人が語り継ぐ講談の方がむしろ風化しにくいと判断。首都圏で活動する講談師の一龍齋貞橘(いちりゅうさいていきつ)さんに資料を送り、創作を依頼した。

 この日は約70人を前に、一龍齋さんが「山田胖物語」を披露。高峰譲吉(高岡市出身)に熱望されて電源開発に取り組んだことや、黒薙(くろなぎ)から引湯し宇奈月の発展につなげたことを巧みな語り口で紹介した。

 今後は講談の短縮版映像を温泉街や黒部峡谷鉄道で共有し、有志が練習する。旅館の夕食時やトロッコ電車の乗車前などの時間を使い、観光案内に役立てる予定だ。

 同観光局の石田智章さん(38)は「観光客が歴史を知ることで、より思い出深い旅になるはず。地元の人にとっても歴史に誇りを持つ機会になればいい」と話した。

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