●担い手確保、地域で後押し
白山市美川地区で5月21、22日に行われる県無形民俗文化財「おかえり祭り」で、地元の小学生が初めて花形の「ラッパ手(しゅ)」を務める。美川小児童12人が名乗りを上げ、18日から美川校下青年団OBの指導で練習を始めた。住民に愛されてきた祭りも、青年団員の減少により担い手確保が課題となっていた。子どものころから祭りに親しむ機会を増やし、地域一体で伝統行事の存続を後押しする。
祭りは神輿(みこし)の先導役となる旗手とラッパ手、神輿の担ぎ手が地区内を練る。紋付き袴姿で勇壮にラッパを鳴らすラッパ手は、花形の一つとなっている。
これまで18~25歳でつくる青年団が担ってきた祭りは、団員の大幅な減少により、今年からOBでつくる「美川おかえり祭りを守る会」が運営することになった。OBや団員、地元有志が一丸となって3年ぶりの巡行に臨む。
担い手不足の深刻化と祭りの改革が進む中、将来の担い手確保に向け、「守る会」のメンバーで89代目のラッパ長を務めた北嶋将光さん(38)が呼びかけ、美川小6年生12人がラッパ手として立候補した。
初の担い手となる子どもたちのため、地元企業約80社からも協力があり、子どもたちに新品のラッパと衣装が用意された。
18日に行われた初練習では、児童が北嶋さんから音の出し方を習い、子どもたちで受け継ぐことになるラッパの手入れ方法などを丁寧に教わった。
メンバーにはラッパ手としては初となる女子児童2人も参加する。湊谷阿由さん(11)は「面白そうと思って挑戦した。本番で最後まで演奏を続けたい」と晴れ舞台を待ち望んだ。
練習は月~木曜の放課後に行う。本番は美川駅前で祭りの始まりを知らせる「集合ラッパ」を披露する。北嶋さんは「小さいころから祭りに参加し、親しんでいれば、愛着がわいてくる」と語った。