新型コロナ対策の「分散参拝」のため約1カ月延長された善光寺御開帳は、6月29日の会期末に向けて終盤に入った。これまで様子見だった人が足を向けるのではないかと、残りの期間の集客に期待する向きもある。
4月3日の開幕当初は出足が鈍いとの見方があり、寺周辺の交通渋滞も前回より短い傾向にあった。御開帳に合わせて市中心部で6月26日まで開くイベント「日本一の門前町大縁日」は5月29日までの来場者が約20万人。実行委事務局の市文化芸術課によると、前回よりも少ないという。
一方、中心市街地の宿泊施設の利用は徐々に上向き、ホテル国際21は5月、前年の倍ほどの利用状況。大型連休を中心に満室に近かったという。6月も5月より落ちるが「悪くない」。ホテルJALシティ長野も6月は既に客室の6割ほどが予約で埋まる。担当者は「当初は直近の休日で予約する人が多かったが、最近は少し先の予約もある」と手応えを語る。
この12日には中心市街地で3年ぶりの屋台巡行もある。7月開催が慣例だが、御開帳に合わせて日程を早め、にぎわいが期待される。市内の飯綱高原や戸隠などを巡る「オープントップバス」は5月から金、土、日曜に運行してきたが、6月17日からは毎日運行に。2階の屋根部分が開いて初夏の景色が楽しめ、運行するながの観光コンベンションビューロー(長野市)は「終盤に向けて多くの観光客を出迎えたい」とする。
善光寺は5月31日、本堂前の回向(えこう)柱に、ウイルスの動きを抑えるとされる光触媒剤を改めて塗った。塗り直しは3度目。大勢の参拝を念頭に、寺事務局の柳沢正志・営繕部長は「新型コロナ感染のリスクを減らすためにやるべきことをやりたい」。御開帳奉賛会の担当者も「あと1カ月とPRしながら集客を下支えしたい」と話した。