■「子孫のため命に従う」 上田を離れたくなかったか
長野市松代町松代の真田宝物館が、戦国武将真田信之が初代松代藩主となって400年を記念した特別展「真田信之―十万石の礎を築いた男」を開いている。これまで父の昌幸や弟の信繁との関わりから語られることの多かった信之の生涯を、数多くの史料から掘り下げている。
信之にまつわる古文書や武具、肖像画など約70点を並べた。信之の長男で上野国(現群馬県)の沼田を治めた信吉が、母の小松姫の墓や御霊(たま)屋がある寺を保護する旨を記した朱印状は初公開だ。
信之が松代藩に入る際に家臣に送った書状では、「松代は素晴らしい城で、真田家にとって名誉なこと」とある一方、「自身は老後に及び、必要ではないことは分かっているが、上意であり、子孫のためにも命に従う」と書かれている。学芸員の米沢愛さん(41)は「信之自身は上田を離れたくなかったのではないか」と推察する。
また、信之の花押も一覧にして展示。宝物館によると、長年使用するとまねされる恐れがあるため、武将が花押を変えることはよくあるが、信之は主なものだけでも8種類ほど。これだけ頻繁に変えるのは珍しいという。米沢さんは「戦国時代から江戸時代までを生きた信之の厚みのある人物像を知ってほしい」と話している。
12月19日まで。現在開催している1期の展示は8月22日まで。同24日から展示を入れ替える。1期は午前9時~午後5時、火曜休館。一般800円、小中学生100円。