坂城町出身で人間国宝の刀工、宮入行平さん(1913~77年)の生誕110周年を2023年に迎えるのを記念した企画展が、同町坂城の鉄の展示館で開かれている。最初の作品とされるものから絶作まで28点を展示。多くの弟子を育て、現代の刀剣文化の礎を築いた宮入さんの作風の変遷をたどることができる。
1938(昭和13)年作の短刀に始まり、時代を追って作品を展示。宮入さんは東京の日本刀鍛錬伝習所で学び、戦前は軍刀も手がけた。42年作の刀は師匠の作風を受け継ぎ、ぎざぎざとした刃紋(はもん)が特徴だ。
昭和30年代に作風が変化し、かすれや起伏がある刃紋が現れる。1963年に人間国宝に認定。77年の作品は南北朝時代の刀を念頭にし、現在の宮入一門の作風とのつながりがうかがえるという。能面やぐい飲みなど、宮入さんのコレクション6点も展示している。
同館学芸員の時信武史さん(46)は「一人の刀鍛冶の足跡を、刀を通じて見ることができるのは珍しい」としている。来年2月5日までの午前9時~午後5時。月曜(祝日の場合は翌日)休館。入館料は高校生以上400円。問い合わせは同館(電話0268・82・1128)へ。