明治から大正時代にかけて福井県旧武生町の各商店が得意先に年始のあいさつとして配布した広告「引札(ひきふだ)」が、越前市中央図書館で展示されている。鮮やかな色彩や縁起の良い図柄が特徴で、見る人の目を楽しませている。2月1日まで。
引札は、現代の店名入りカレンダーのようにして商店が配布した広告で、もらった客が屏風(びょうぶ)やふすまに貼るなどして飾られていた。「めでたきかな 新春を彩る 引札」と題して、同館に寄贈された所蔵品から紙や油、履物などを扱う商店が制作した13枚を展示した。
B4判程度のサイズで新年を祝う恵比寿や大黒、小判を担いだ十二支などの絵が入り、いずれも華やかなデザイン。舟に乗った女性を描いた作品は、藻を刈り取る姿に「もうかる」の意味を持たせて験を担いでいるという。貴重品だったたばこを前面にアピールする図柄からは当時の世相が感じられる。
引札を配布していた商店が並んだ市街地を示す1907(明治40)年の地図も併せて展示している。