人形浄瑠璃の動画撮影に臨む近松座=1月28日、福井県鯖江市立待公民館

人形浄瑠璃の動画撮影に臨む近松座=1月28日、福井県鯖江市立待公民館

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人形浄瑠璃「近松座」の技、動画で伝承 福井県鯖江市立待地区「100年先、200年先も残したい」

福井新聞(2023年1月31日)

 福井県鯖江市立待地区の人形浄瑠璃一座「近松座」は、地域で育んできた人形浄瑠璃を後世に伝えようと、舞台の様子や人形操作のノウハウを動画にする取り組みを始めた。京都市などが進めている伝統芸能文化創生プロジェクトに採択され、プロの撮影スタッフが協力。一座の高齢化が進む中、「近松座の浄瑠璃を100年、200年先に残したい」と意気込む。

 近松座は2005年、江戸時代の浄瑠璃、歌舞伎作者近松門左衛門が立待地区で幼少期を過ごしたことにちなみ発足。地域の祭りに出演したり、小学校で文楽講座を開いたりするなど「近松のまち」の顔として活躍している。

 メンバーは立待地区の10~80代の男女18人。ただ、旗揚げ当初のメンバーの多くは60代以上。これまで県外の指導者に教えを請うこともあったが、基本的には独学で技術を高めてきた。習得に苦労した経験を踏まえ、今後「指導者がいなくても一座を続けていけるように」と動画作りを思い立った。

 構想をまとめ、京都市などが設置した伝統芸能文化の継承・発信機関「伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス(TARO)」のプロジェクトに応募。「地域に根ざした活動の熱量が際立っていた」(TARO担当者)と見事採択され、本年度から3年間で複数の演目や活動風景を動画に記録することとなった。

 初の撮影は1月28日、市立待公民館で行われた。演じたのは十八番の一つ「傾城阿波鳴門(けいせいあわのなると) 巡礼歌の段」。辺りを襲う風雪に負けじと、座員一同が額に汗を浮かべながら"熱演"。半日かけて、さまざまなカットを収録した。

 これからも複数の演目を動画に収め、随時インターネットやSNS(交流サイト)で公開する予定。伝統の継承や座員の技術向上だけでなく、活動を県内外に広く発信していく。

 太夫の南さんは「伝統にこだわり過ぎず、地域に寄り添った活動を続けてきた。その思いが引き継げるとうれしい」と話している。

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