小松市のお旅まつりが14日、最終日を迎え、小松の町衆文化の華である曳山子供歌舞伎が夜まで街を沸かせた。千秋楽の舞台に立った京町と大文字町の子供役者は、力を振り絞って「歌舞伎のまち」の力を見せつけ、観衆から惜しみない拍手を浴びた。15日は曳山6基の移動や解体が行われ、4年ぶりに完全復活した小松を代表する祭礼が幕を閉じた。
京町では上演前、本来若衆が担当する口上を、歌舞伎を運営した五人衆がアドリブでこなして会場を笑いに包んだ。親子の情愛や義経を巡る義理人情の物語を子供役者7人が最後まで熱演し、有終の美を飾った。
最初に曳山舞台に登場した九郎判官義経役の宇野陽咲子さん(稚松小5年)は、力強い声で観衆を魅了。佐藤忠信と源九郎狐の2役を演じた縄祐花さん(同)は「出来は99点」と笑顔を見せた。宇野さんとクラスメートで仲良しの縄さんは「つらかった稽古のおかげで絆が深まった。いい思い出をつくれた」と話した。
大文字町の千秋楽では、小道具をおもちゃにすり替えたり、台詞(せりふ)をあえて間違えたりと、若衆のいたずらが笑いを誘った。子供役者5人は、時に笑いをこらえながら曳山の舞台に立ち、源氏再興に向けた兄弟、主従の葛藤を描いた物語を熱演し、盛り上がりは最高潮に達した。
今年初めて住民による上演委員会が曳山子供歌舞伎を支えた。智恵内(ちえない)(吉岡鬼三太)役の近松葉さん(芦城小4年)は「稽古続きで大変だったけど、たくさんの人に支えられた。みんなと一生の友達になった」と声を詰まらせた。