加賀市の山中温泉ゆげ街道にあるオルゴール館が今秋、伝統工芸や美術作品の発信拠点として生まれ変わる。山中漆器の製造卸を手掛ける吉田輝夫さん(71)が建物を改修し、人間国宝らの作品を展示するギャラリーを整備する予定で、プレオープンとして今月から大判焼きの販売を始めた。客足が戻り始めた街道の新たな名所として発信し、湯の街ににぎわいを生み出す。
オルゴール館は2001(平成13)年に空き家を活用してオープンし、大小さまざまなオルゴールや土産品を展示販売してきた。吉田さんは2月、不動産事業者を通じて持ち主が建物の引き取り先を探していることを知り、地域活性化に役立てようと取得した。
1階には木工芸人間国宝の川北良造氏をはじめ、日展作家ら山中漆器の名手の作品を鑑賞できるギャラリーを整備する。2階には美大生らの作品展示スペースの設置を検討しており、秋のグランドオープンを目指して改修する。
店内ではオルゴールや箸などオルゴール館が元々手掛けていた品に加え、山中漆器や九谷焼、ガラス工芸品、衣類などを販売する。
大判焼きを新たな温泉グルメとして集客につなげようと、今月1日に大判焼きの専門店「ゆげぼうし」をオープンさせた。中身のつぶあんやカスタードがいっぱいに詰まっているのが特徴で、観光客らが列をつくることもある。
吉田さんは、観光客がオルゴール館やおたから蔵などを巡り、ゆげ街道の回遊性が高まることに期待しており、「施設の魅力を高めて大勢の人に来てもらえるようにしたい」と話した。