旅行先でランニングを楽しむ「旅ラン」の需要を取り込もうと、北陸のホテルや健康複合施設が工夫を凝らしている。金沢市内でランナーの拠点となる「ランニングステーション」を開設する計画があるほか、シューズなどを貸し出すホテルも見られる。コロナを経てランニング人口が増加する中、各施設は健康志向の高まりを好機ととらえ、周知に力を入れる。
金沢駅西にある医療とフィットネスの複合施設「スコール金沢」(金沢市広岡3丁目)は20、21日の朝、ランニングステーションの開設に向けた体験会を開いた。
市内外から訪れたランナーがスコール金沢で荷物を預け、まちなかのランニングを楽しんだ。シャワーや温泉、ジムなどが利用でき、管理栄養士が考えたバランスの良い食事も提供された。
6月にも体験会を開いて改善点などを探り、7月のオープンを目指す。
ランニングステーションは、皇居の周りを走る通称「皇居ラン」のブームを発端に誕生したビジネスモデルとなる。東京ではロッカーやシャワーを完備した施設が誕生し、大手スポーツ用品メーカーも参入している。
スコール金沢は金沢駅西の立地を生かし、金沢中心部の観光地を巡る観光客や、犀川沿い、50メートル道路沿いを走る地元ランナーの利用を見込んでいる。
体験会を企画した金澤ブルワリー(金沢市)の鈴森由佳代表は自身も旅先で走ることがあるとし、「施設には十分な設備があり、ランナーが使いやすい場所にしたい」と話した。
金沢市内では、清川町の旅館「由屋(ゆうや)るる犀々(さいさい)」もランニングステーションを開設している。
●コロナでランナー増
笹川スポーツ財団の調査では、国内でランニングを週1回以上行う人は2020年、579万人で過去最多だった。コロナ下の運動不足解消のため、ランニングを行う人が増えたことなどが一因になったとみられる。
ゴールドウイン(本店・小矢部市)によると、主力ブランドの「ザ・ノース・フェイス」では、ランニング商品の売り上げが好調という。
金沢ニューグランドホテル(金沢市)は、宿泊者がスタッフの案内で5キロのコースを走るプログラムを用意している。シューズやシャツ、パンツのレンタルも行っており、「旅ラン」のニーズ取り込みを図りたい考えだ。