●今秋再びお目見え
小松市寺町の曳山(ひきやま)保存会は18日、同町の真宗大谷派小松本覚寺前で、お旅まつりで子供歌舞伎を上演する曳山を解体した。同町の曳山解体は8年ぶりで、解体や組み立ての技術を継承しようと20~30代の若い世代が一緒に作業した。車輪の潤滑剤を点検した上で、秋の国民文化祭に向けて10月に再び組み立てる。
解体には住民約40人が参加し、曳山を展示していた県小松市團十郎芸術劇場うららから小松本覚寺の前に移動。高所作業車も用いながら、屋根や欄干などの部材を一つ一つ慎重に取り外し、毛布で包んで寺にある蔵に納めた。
初めて解体作業を見た浜出直樹さん(35)は「ちゃんと覚えて伝統が途切れないようにしたい」と話し、弟の祐太さん(26)も「いずれ自分たちが中心になってしなければいけないので、頑張ろうと思う」と気持ちを高めた。
寺町の曳山は1798(寛政10)年ごろに造られ、屋根の四隅に飾る「宝(ほう)鐸(ちゃく)」は大聖寺藩10代藩主前田利極(としなか)の正室から贈られたと伝わる。小松市の木場潟公園を主会場に全国植樹祭が開催された2015年、会場に曳山を設置するため解体、組み立てした。
町内会長で保存会の小林竹次会長(69)は「若い住民は組み立てや解体作業を知らない。少しずつ経験してもらい、技術を受け継いでいきたい」と語った。