●ビアガーデン、飲食店で昭和歌謡
加賀市を拠点に活動するシンガー・ソングライター宗玄カズヒロさん(58)が、同市大聖寺地区の飲食店で客の要望に応じて歌う「流し」を再開する。ここ数年はコロナ禍で休止していたが、大聖寺ににぎわいを取り戻そうと奮闘する住民の呼びかけに応じて再びギターを手に酒場に出ることに。7日はプレ公演として大聖寺鍛冶町のビアガーデンで歌声を響かせ、懐かしの昭和歌謡で場を盛り上げた。
流しは楽器を持って飲食店を回り、客のリクエストに応えて生演奏を披露してチップなどを受け取る。宗玄さんによると、昭和30~50年代には各地の繁華街に流しの歌い手がいたが、カラオケの普及とともに夜の街から姿を消した。
フォークソングや歌謡曲など宗玄さんのレパートリーは約130曲。2016年に、同市山代温泉や金沢市片町などで昭和の雰囲気を演出したいという店主の求めもあり、流しを始めたという。しかし、新型コロナの影響で活動休止を余儀なくされた。
コロナの5類移行に伴い、再び歌うことができる場所を探していたところ、大聖寺で町屋の再生に取り組む不動産業辻裕行さん(55)に「歌で地域を元気にしてほしい」と誘われ、再開することにした。
7日のプレ公演では、約20人を前に、井上陽水さんの「少年時代」、長渕剛さんの「巡恋歌」など4曲を熱唱。ビール片手の来店者が体を揺らしながら懐かしの歌に聞き入った。アマチュアで音楽活動をしている辻さんも4曲を弾き語りした。
今後はビアガーデンが営業する週末に合わせ、週1回の活動を予定しており、ビアガーデンのほか、近隣の「ちょうちん横丁」「一本橋横丁」の飲食店5軒を回る。
宗玄さんは「お客さんと近い距離で交流できるのが流しの魅力。音楽で大聖寺を盛り上げていきたい」と話した。