和合の念仏踊に使われた太鼓や灯籠などが並ぶ展示会場

和合の念仏踊に使われた太鼓や灯籠などが並ぶ展示会場

長野県 伊那路 祭り・催し

南信州の踊りの道具展示 飯田美博、無形文化遺産登録を記念

信濃毎日新聞(2023年7月15日)

 飯田市美術博物館は、阿南町の「和合の念仏踊(おどり)」「新野の盆踊」を含む「風流(ふりゅう)踊」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたのを記念し、阿南町、天龍村、泰阜村など南信州の踊りに使われる道具や関係する書簡など20点余りを展示している。8月27日まで。

 和合の念仏踊に使われた太鼓は、胴の内側に、江戸末期の1853(嘉永6)年に作り、その後も明治・大正時代に張り替えを繰り返したことが墨で記されている。長年にわたって地域の人たちが踊りを伝えてきたことが分かる。

 江戸時代に年貢とした板材「榑木(くれき)」の完納を祝う「榑木踊」(泰阜村)は、用いられた切り子灯籠(とうろう)やかねが並ぶ。踊りは今は途絶えつつある。天龍村向方地区のかけ踊については、一度途絶えたものの、地域外の若者の協力で復活したことを紹介した。

 展示に合わせて同館で開いた講座で、学芸員の近藤大知さん(28)は「風流」について解説した。平安時代後期の日記に「華やかな、人目を引く趣」という意味で登場し、その後、趣向を凝らした飾りや踊りそのものを指すようになったという。疫病退散を願ったり、その年に亡くなった人の霊を生活空間から送り出したりして「暮らしの安寧への願いを込めた」とした。

 新野地区に盆踊りを伝えたとされる愛知県東栄町から講座に参加した自営業宮下英治さん(58)は「風流とは何か、という疑問が少し解けた」。東栄町の盆踊りは新野と違ってかねも鳴らさずしんみりとやる―とし、「(踊りが)地域でさまざまな形で残っていると実感した」と話した。

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信濃毎日新聞デジタル https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023071400503
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