小松市中心部の北國街道沿いの商店などが29日から約1カ月間、「中学生画家」の作品で彩られる。同市丸内中1年の辻観誠(かんせい)さん(13)が描いた絵の原画や大型化したタペストリーを飾る「KANSEI EXPO'23」(北國新聞社後援)と銘打ったアートイベントとなる。街を丸ごと展覧会場として、来訪者の回遊を促す。
北國街道沿道の龍助町、西町の住民らでつくる「北國とおり町にぎわい協議会」などが、「北國とおりアートプロジェクト」の第1弾として企画した。
辻さんが店舗で作品を展示するほか、こまつ町家文庫と中出精肉店で公開制作を行う。8月20日には辻さんが街を案内して作品を解説するアーティストツアーを予定する。
辻さんは聴覚に障害があり、5歳から絵画教室に通う。近年は音楽や地球、宇宙を表現した独自の世界観の絵を主にフェルトペンやボールペンで描いている。北國少年少女美術展(一般財団法人県美術文化協会、北國新聞社など主催)での受賞を重ね、昨年7月には小松市内で初の個展を開き、9日間で千人が来場する人気となった。
協議会メンバーで映像作家の田村薫さん(42)が「とおり町で万博をしよう」と辻さんに提案し、2人で相談して企画を考え、各店舗に作品展示を働き掛けた。
29日から8月25日までの期間中、北國街道周辺に建つ古い町家などが会場となる。
辻さんの母奈穂子さん(46)の実家であり龍助町で220年営業する滝本茣蓙(ござ)店、北陸茶業の祖と呼ばれる長谷部理右衛門の子孫が370年間守る長保屋茶舗をはじめ、こまつ町家文庫、中出精肉店、龍助25、アントワープに辻さんの絵の世界が広がる。
辻さんは「この街は、人とのつながりを大切にしている。多くの人に街を知ってもらいたい」と願い、新たな出会いに期待した。