福井県越前市観光協会は本年度、中心市街地のルーツとなっている江戸時代の府中城下町の歴史に光を当てた観光企画を展開する。城下町の成り立ちや面影の残るスポットをまとめたガイドブックを活用し、まち歩きや謎解きゲームを楽しめるツアーを今秋から始める。ツアーの案内役に歴史愛好家らの参加を受け入れ、市民参加型のイベントづくりを目指す。
現在の越前市街地は、福井藩の筆頭家老で府中領主となった本多富正が整備した城下町が基礎となっている。福井地震や福井空襲の難を逃れ、旧北陸街道を中心とする町割りや集中する寺院群などに当時の名残が色濃く表れている。
新たに製作した歴史ガイドブック「解明!越前府中城下町の謎」は、城下町が形成された経緯とともに、現在と当時の街並みを比較できるマップを掲載。陽願寺や総社大神宮などの寺社、城の防衛上の構造とする説がある路地スポット「くの字坂」「卍が辻」など30カ所の見どころを一覧で紹介している。
城下まち歩きツアーは10月から実施予定で、参加者を案内するボランティアガイドの養成講座を7月下旬に開いた。市民有志4人が参加し、市の学芸員が講師を務めた座学と実地研修で解説のポイントを学んだ。同市吾妻町の男性は「歴史が残るまちのことを深く知りたくなった。魅力の伝え方を勉強していきたい」と話していた。
府中城下町をテーマにした謎解きツアーでは、市街地の指定エリアを巡りながら、隠されたキーワードを集めて問題の答えを導き出すゲームに挑戦してもらう。11月の開始に向けてゲーム内容の企画を進めている。
ガイドブックは3千部作製。ツアー参加者に配布するほか、10月から一般向けに販売も行う。1冊500円。蔵や町家を改装した飲食店などで使える500円分のクーポンを付け、回遊のきっかけにしてもらう。
市観光協会は「先人から受け継いだ町並みや由緒ある古い建物など城下町の痕跡を、観光客だけでなく市民にも再発見してもらいたい」としている。