大学茶道部の学生が集う全国学生大茶会(石川県茶道協会、北國新聞社特別協力)は最終日の3日も、金沢市中心部の10会場で茶席が設けられた。4年ぶりの通常開催となった大茶会には幅広い年齢の市民や茶道部OBが訪れ、2日間で昨年の500人増となる1771人が一服を堪能。久しぶりに心置きなく交流を深め合った学生たちは「来年も金沢で」と、加賀茶道の聖地で再会を誓った。
大茶会には応募のあった全国41大学から抽選で選ばれた28大学の約240人が参加。10会場で、学生同士が参加する交流茶会を含め各5席が開かれた。
満席となった松声庵では、着物姿の東大茶道同好会メンバーが花結界をしつらえた爽やかな茶席で秋の風情を感じさせた。山中塗など加賀の道具も組み合わせた席で半東(はんとう)を務めた岡田真穂さん(2年)は「お茶好きの方の密度の高い金沢でおもてなしができたことがうれしい」と振り返った。
裏千家に表千家、藪内流、石州流、大日本茶道学会と多様な流派がそろうのも大茶会の魅力。旧園邸では遠州流を学ぶ富大茶道部が席を設け、重ね茶碗(ちゃわん)の点法で薄茶を振る舞った。
正客は児童館で茶道を学ぶ大徳小3年の小石絢乃さんで、学生茶席の「子ども茶人」が場を和ませた。点前(てまえ)を熱心に見守った小石さんは「いつもと違うお茶のたて方が見られて楽しかった」と笑顔で話した。
今回初の会場となった金沢学生のまち交流館では、東北大医学部茶道部が担当し、加賀相阿弥(そうあみ)流盆石が飾られた大広間で、心癒やすひとときを届けた。席には大茶会の開始前年に開かれた「プレ茶会」で釜をかけた茶道部OBの姿もあり、部員らと親睦を深めた。
市では合宿誘致を進めるなど大学茶道部の活動を後押ししている。関西学院大OBの嶋田壮秀さん(26)は「大茶会は他大学の茶会にいくつも足を運べる機会。今後も金沢で交流を続けてもらいたい」と後輩にエールを送った。大茶会は、実行委員会と金沢市が主催した。