紫式部が越前国の暮らしで味わったであろう平安貴族の御膳料理の再現を試みた「紫（し）きぶ御膳（おもの）」の展示が１０月２２日まで、福井県越前市の紫ゆかりの館で行われている。時代考証に基づき、越前で当時手に入ったと考えられる食材を使った料理が紹介されている。

　紫きぶ御膳は、式部が著した源氏物語について学ぶ「源氏物語アカデミー」の実行委員会が考案し、会期中に全国の古典ファンに提供している。式部が主人公となる来年のＮＨＫ大河ドラマ「光る君へ」にちなみ、同館が食品サンプルを作製して展示した。

　料理は計１５品で、式部が暮らした越前国府に各地から届けられたと想像される山や海の幸をふんだんに使用。式部の好物だったとされるイワシを越前奉書紙で包んだ蒸し焼き、牛乳を煮詰めた栄養食の蘇（そ）、赤米の粥（かゆ）などが並ぶ。一般住民の食事のサンプルも合わせて展示している。

　展示は７日に開幕した「えちぜん紫式部まつり」の一環。まつりでは、同館に隣接する紫式部公園の夜間イルミネーションが２１日まで点灯。メインとなる２１、２２日は二胡とフルートの演奏、クラフトマーケットなど多彩な催しが開かれる。問い合わせは紫ゆかりの館＝電話０７７８（４３）５０１３。