勧進帳を熱演する生徒=県小松市團十郎芸術劇場うらら

勧進帳を熱演する生徒=県小松市團十郎芸術劇場うらら

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伝統つなぐ「勧進帳」堂々  小松で歌舞伎の祭典 松本幸四郎さん洗練の舞

北國新聞(2023年11月6日)

 国民文化祭の小松市地域文化発信事業「こまつ歌舞伎・秋の祭典~勧進帳特別企画~」は5日、県小松市團十郎芸術劇場うららで開催された。同市松東みどり学園の生徒が歌舞伎「勧進帳」を上演し、満員の約800人の観客を「智仁勇」の物語に引き込んだ。ゲストに歌舞伎俳優の十代目松本幸四郎さんを招いた大舞台で、堂々と演じきった生徒は「歌舞伎のまち」の伝統をつなぐ決意を新たにした。

 弁慶が何も書かれていない巻物を勧進帳として読み上げる場面や、富樫とのよどみない山伏問答、金剛杖(こんごうづえ)で主君の義経を打つ見せ場などで、生徒は力強い声を響かせた。同校は小中一貫の義務教育学校で、中学生にあたる7~9年生65人が役者や黒子、着付けなどに携わった。小学生が勧進帳を調べた成果は会場に掲示され、全校一丸でつくりあげた舞台となった。

 弁慶役の宮野陽心(はるし)さん(9年)は、けがで右膝を傷めながら稽古を重ね、「思っていたよりできた。たくさんの人に来てもらい、この思い出は一生の宝物になった」と笑顔を見せた。

 いずれも9年で、富樫を演じた吉田匠さんは「失敗なくやりきれた」と達成感をにじませ、義経役の寺本萌依奈(めいな)さんは「学校全体でつくった勧進帳を見せられて良かった」と振り返った。

 特別ゲストの幸四郎さんは素踊り「流星」で洗練された舞を披露。面を即座に付け替えながら、雷の夫婦や子ども、おばあさんまで4役を巧みに踊り分け、観客から拍手が湧き起こった。

 うらら名誉館長の十三代目市川團十郎白猿(はくえん)さんの「はとこ」にあたる幸四郎さん。古典芸能解説者の葛西聖司さんとのトークショーでは、團十郎さんの名を冠した施設について「優れた劇場であり、今後も歌舞伎を愛し、育て、楽しんでいただきたい」とエールを送った。

 客席で観賞した勧進帳については、役者から後見、囃子方(はやしかた)までたたえ「当地で受け継がれることが大事だと思う。思い出づくりだけでなく、知らないことを面白がり、自分で探して進んでいく場にしてほしい」と指摘。「子どもたちと一緒に舞台に立てることがあればいい」と自身の出演にも意欲をみせた。

 幕開けは、来年の国民文化祭開催地である岐阜県の垂井曳軕(ひきやま)保存会が「寿式三番叟(さんばそう)」で舞踊を繰り広げた。会場ではJA小松市松東支店などが松東みどり学園の生徒やスタッフにブランド米「蛍米」のおにぎりを贈り、来場者にも「蛍米」パックご飯を配った。

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