特別公開が始まった家康の書状について説明する細川さん=県公文書館

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家康の書状を特別公開 県公文書館、関ケ原直前 戦の順調さ示す

北日本新聞(2023年11月11日)

 県公文書館(富山市茶屋町)は10日、所蔵する徳川家康の書状の特別公開を始めた。慶長5(1600)年9月15日に起こった関ケ原の戦いの直前である同月7日に発給されたもので、家康が天下統一に向けて戦を順調に進めていたことが記されている。宛先が書かれた箇所は切り取られており、家康が誰に宛てたかは不明だが、同館資料課長の細川精樹さんは「味方の陣営に好調ぶりを示し、自軍につなぎ止めようとしていたのではないか」との解釈を示す。

 書状は縦約18センチ、横約36センチ。本文は家臣による代筆で、左下の花押(かおう)(サイン)が家康の直筆とみられる。1600年8月、東軍(徳川方)の福島正則や池田輝政らが西軍(石田三成方)の岐阜城を攻撃し落城させた「岐阜城攻め」を受けて家康が発給した。本文には「岐阜城が落城したことで、近いうちに吉報がもたらされるだろう」といった旨が記されており、岐阜城の落城が家康と三成の天下分け目の戦いに大きな影響を与えていたことを示している。

 書状は2018年1月、高岡市の収集家から県公文書館へ寄贈された。1899年と1916年に東京大史料編纂(へんさん)所が調査したとの記録があるが、同館への寄贈後は本物かどうかの確証が得られておらず、今年10月に同所へ鑑定を依頼。家康の花押と年代の整合性などから、家康が発給した正文(原本)であると立証された。

 同館によると、県内にある家康の発給文書は、今回展示する書状と、高岡市立博物館が所蔵する書状の2件のみ。細川さんは現在、NHK大河ドラマ「どうする家康」が放送されていることに触れ「話題の時代の資料をぜひ見にきてほしい」と話している。

 書状の特別公開は12月22日まで。土日祝日は休館。

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