福井県鯖江市立待地区で生まれ育ったとされる江戸時代の文豪、近松門左衛門の300回忌に合わせた催しが11月22日、同市吉江町の近松会館で開かれる。近松の歌舞伎作品に登場し、滋賀県内で見つかった仏像が里帰り展示されるほか、パネル討論で歌舞伎役者や住職らが近松作品などについて語る。
地区の住民らでつくる近松の里づくり事業推進会議が命日に企画した。
仏像は、近松が初代坂田藤十郎のために書き、坂井市三国町が舞台の歌舞伎作品「けいせい仏の原」に登場する月窓寺(同市)の「くつはき阿弥陀如来」。滋賀県甲賀市の金龍院で見つかり、専門家の調査で作品に登場する月窓寺の本尊だったとみられることが昨年確認された。
近松の伯父杉森信幸の系列である杉森本家伝来の刀剣とともに展示する。
午後1時から会館敷地内の近松坐(ざ)像前で法要が営まれた後、パネル討論が行われる。テーマは「近松作品『けいせい仏の原』『曽根崎心中』に隠された謎」。故坂田藤十郎さんの孫で歌舞伎俳優の中村壱太郎(かずたろう)さんとフラメンコダンサーの佐藤浩希さんが冒頭、近松作品への思いを語り、福井大の三好修一郎名誉教授と金龍院住職の静永秀明さんは、くつはき阿弥陀如来を発見した経緯などについて話す。