山あいの福井県池田町に伝わる保存食「ばんこもち」の製造が最盛期を迎えている。1月18日、同町土合皿尾のそば打ち体験施設「そばの郷(さと)池田屋」では、ヨモギの香りが漂う中、深緑色で円盤形の大きなもちが次々と卓上に並べられた。
丸太の切れ端を意味する「ばんこ」が呼び名の由来。寒の時期に作られる。町内のオオヨモギがたっぷりと入っており、素朴な味わいを楽しめる。
この日は、従業員8人がもち米とうるち米にヨモギを加えてつき、卓上で直径20センチ、厚さ1センチほどの円盤状に手際よく整えた。乾燥させて完成する。
水に浸して軟らかくし、焼いて味わうほか、そのまま温めてから焼いて食べる生タイプもある。国道417号冠山峠道路の開通で町内を訪れる観光客が増える中、従業員は「ヨモギが香る懐かしい味。きな粉をつけて食べるのがお勧め」と話していた。
2月末までに千枚以上を作る予定。そばの郷池田屋や同町のまちの駅「こってコテいけだ」などで販売している。