3月16日に開業する北陸新幹線小松駅に近い小松市西町の空き店舗で、2月にもイタリア料理店がオープンする。東京の人気店のシェフだった成田智也さん(42)=青森県十和田市出身=が、空き店舗の風情と、まちの雰囲気、住民の人柄にほれ込み、移住して腕を振るうことを決めた。「小松でイタリアの郷土料理を広めたい」と意気込む。
空き店舗は小松駅から徒歩5分ほどの距離にあり、旧北國街道に面している。西町と近隣の龍助町では町家景観の保全が図られており、2年前には無電柱化が完了した。龍助町の若手商店主でつくる「北國とおり町にぎわい協議会」が新幹線駅開業に向け、まちおこし活動に積極的に取り組んでいる。
成田さんは、イタリアのピエモンテ州の郷土料理を得意とする東京の店「ラ・チャウ」と姉妹店「アブラッチョ」で、昨年末まで腕を磨いてきた。独立を志していたところ、西町の町家ふうの空き店舗が気に入って現地に足を運び「良い流れが来ているまちだと感じた」と出店を決めた。
成田さんは16日、店舗2階に移住。近く結婚する婚約者と一緒に、開業準備を進めている。店名は「トラットリア ナリ」とし、ランチ営業も行う考えで、手打ちパスタやラビオリなどのほか、ピエモンテ州を中心にイタリア全土の専門的な郷土料理を提供していく。
空き店舗の場所は、これまでに「みなとや食堂」など人気飲食店があったことで知られる。空き店舗を紹介した、みやもと不動産(小松市)の宮本弘幸社長(63)は「小松のまちを元気にしてほしい。全力で応援したい」と話した。成田さんは「なるべく地元食材を使っていきたい」と地産地消にも意欲を語った。