地震で店舗や蔵が全壊した輪島市の中島酒造店が、がれきの下から取り出した酒米を使って仕込んだ新酒が26日完成した。委託でなく自ら酒を造りたいと、小松市の東酒造の設備を借りて醸造した中島酒造店の代表社員中島遼太郎さん(35)は、代表銘柄「能登末廣(すえひろ)」の初しぼりを試飲し「すごく良い出来で、うれしくてほっとしている」と感謝した。
東酒造の二見秀正杜氏(とうじ)(48)が珠洲市出身で、中島さんに東酒造で造らないかと持ち掛けた。中島さんは白山市のアパートから東酒造へ通い、酒米3380キロを使って2月12日に仕込みを始めた。
720ミリリットル入りで600本を出荷予定で、4月3日から東酒造の店頭やネットで販売し、東酒造の銘柄「神泉」を扱う金沢市の店にも並ぶ。
中島さんは「いろんな方が手を差し伸べてくれて出来上がった。すっきりとした辛口で香りもいい。気に入って応援してもらえるよう頑張りたい」と満足そうに語った。東酒造社長の東祐輔さん(52)は「思いが詰まったお酒で一層おいしく感じた。飲んで応援してほしい」と話した。