冬期間休業していた石川県能登町斉和(さいわ)の自然体験施設「ケロンの小さな村」が6日、営業を再開した。地震でシンボルの水車小屋が傾くなどの被害が出たが、開村を心待ちにしていた人が訪れ、耕作放棄地を切り開いた手作りの施設に再び子どもたちの声が響いた。
施設は元教員の上乘(じょうのり)秀雄さん(79)が2009年に開いた。地震で施設と珠洲道路を結ぶ道はふさがれ、建物やパンを焼く石窯が崩れた。上乘さんと孫の古矢拓夢さん(24)=金沢市=が復旧作業を進め、野外テラスや手押しポンプを修理し、陥没していた水路や石垣などを手直しした。
初日はオーブンで焼いたパンが用意された。水車小屋の修理は専門業者に依頼するしかなく、費用はクラウドファンディングで募る。上乘さんは「心は折れかけたこともあったが、少しずつ元の姿に戻したい」と話した。施設は11月までの土日、祝日に開村する。