ライトアップされ、水田に映る合掌造り家屋と桜。近年は窓明かりで「逆さ合掌」を撮影したいとの希望が増えている=2019年4月、南砺市相倉

ライトアップされ、水田に映る合掌造り家屋と桜。近年は窓明かりで「逆さ合掌」を撮影したいとの希望が増えている=2019年4月、南砺市相倉

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南砺・相倉合掌造り集落、マナー遵守へ夜間開放日 時間外来場の観光客対策、撮影希望多く初の試み

北日本新聞(2024年5月7日)

 南砺市平地域の世界文化遺産・相倉合掌造り集落の保存財団は5、6月、普段は住民や宿泊客以外は入れない午後5時以降も集落を開放する日を設ける。「窓明かりに照らされた幻想的な風景を撮影したい」という要望を受けた初の試み。時間外に訪れるマナー違反が絶えず、撮影可能な日を設けることで、夕暮れ以降は「時間外」と改めて周知し、世界遺産に暮らす住民のプライバシーを守りたい考えだ。

 相倉合掌造り集落では、住民の生活を守るため、午後5時以降は住民と宿泊者以外は集落に入らないよう求めている。四季折々の景観を生かし、秋や冬などに年数回開くライトアップイベント時に限り、時間外の見学を認めてきた。

 ただ、近年はインスタグラムなどSNS(交流サイト)の普及で、ライトアップのような大がかりな人工の明かりでなく、暮らしの中の窓明かりに照らされた集落の写真を撮りたいという希望が増え、時間外に訪れる人も出てきた。このため、ライトアップ以外に初めて午後8時まで延長する「窓灯(あか)り鑑賞日」を、今月29日と6月5日に設けることにした。

 集落内に見学可能な地点を設け、水が張られた田んぼに合掌造り家屋が映る「逆さ合掌」を見学してもらう。保存財団の中島仁司事務局長は「住民や宿泊客だけが見ることができる特別な夜景を楽しんでほしい」と話す。

 雪化粧された夜の集落も見たいとの要望も根強いことから、来年1月にも毎週水曜に延長開放日を設ける。

 相倉と菅沼(上平)の両合掌造り集落は2025年に、世界遺産登録30周年を迎える。中島事務局長は「人が住んでいる世界遺産だということを、正しく理解し、正しく見学してほしい」と呼びかける。

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