松本市奈川と岐阜県境の野麦峠で26日、飛騨地方から峠を越え、諏訪地方へ出稼ぎに出た工女らをしのぶ恒例の「野麦峠まつり」が開かれた。小中学生や地元住民ら約200人が参加。一行は着物姿の工女などに扮(ふん)し、旧野麦街道の約1・5キロを歩いた。
市奈川小中学校などの児童生徒らは、手ぬぐいやすげがさをかぶって当時の姿を再現。「歩荷(ぼっか)」の格好をして約10キロの荷物を背負う職員も。子どもたちは「大変だけど楽しい」と張り切りながら、元気いっぱいに古道を歩いた。
同校小学1年の生出月夏(おいでるな)さん(6)は「思ったより急な道だけど、楽しい」と満足そうな表情を見せた。1時間ほどかけて到着した峠では、地元の踊りや歌の披露、ウドやサバ缶を使ったみそ汁「ウド汁」の振る舞いもあった。
日本の発展に貢献した工女の歴史を知ってほしいと、奈川地区の町会連合会などでつくる実行委員会が主催。新型コロナの影響で4年ぶりに開いた昨年より50人多い150人を公募した。実行委員長の勝山裕康(ゆうこう)さん(72)は今後について、「県外や海外の方に向けても(参加の)間口を広げていきたい」と話した。