ヒノキの一合升の中に立体的な金魚を描き出す美術作家、深堀隆介さん＝横浜市＝の大規模個展「深堀隆介展～水面のゆらぎの中へ～」（福井市美術館と福井新聞社でつくる実行委員会主催）が６月８日、福井県福井市美術館で開幕する。学生時代の作品から新作のインスタレーションまで２９０点余りを並べ"金魚絵師"の軌跡を一望する。

　深堀さんは１９７３年、愛知県生まれ。創作に行き詰まっていた２０００年、自室で飼っていた金魚の美しさに魅せられ、金魚をモチーフとした。

　会場には代表的な「金魚酒」シリーズがずらりと並ぶ。透明樹脂を何層も重ねながら描く「２・５Ｄペインティング」と称する技法により、一合升の水面の向こうに泳ぐ金魚が立体的な姿を見せる。

　金魚は木おけや机の引き出し、つぶれた空き缶の中を泳ぎ回る。美しい背中を描く平面作品や４畳半の畳の上を金魚が群れ泳ぐインスタレーションの大作など会場中を金魚が彩る。

　設営作業が大詰めとなったこの日、深堀さんはスタッフに指示したり、作品の一部をその場で描き足したりして準備。「ＣＧなどではなく、手仕事による動いているような金魚の姿を楽しんでほしい」と話していた。

　福井市制１３５周年、福井新聞創刊１２５周年記念の展示。７月２８日まで。同１５、２２日を除く月曜と同１６日は休館。一般１２００円、高校・大学生８００円、小中学生５００円。福井市美術館＝電話０７７６（３３）２９９０。