ちぎった新聞紙を貼り合わせて描く「新聞ちぎり絵」に取り組む木村セツさん(95)=奈良県=の作品展「95歳セツの新聞ちぎり絵原画展」が7日、富山市民プラザで開幕した。繊細で温かみのある作品など約160点が並び、来場者がじっくりと見入った。7月7日まで。北日本新聞創刊140周年記念事業。
セツさんは90歳になる頃から新聞ちぎり絵を始め、才能が開花。孫がSNS(交流サイト)に作品を投稿すると話題になり、X(旧ツイッター)のフォロワーは現在9万人超に上る。全国各地で作品展を開く中、大規模な展覧会は今回が2回目となる。
はがきサイズの原画を中心に展示。エビフライやブロッコリー、ホットドッグ、風鈴など日常の中にある物を色鮮やかに表現した力作を並べ、セツさんの朗らかな人柄がにじむコメントを添えた。富山での開催に合わせ「ますずし」を題材にした新作も飾り、制作の様子を収録した映像を初公開した。
新聞紙には見えないほどの精巧な仕上がりに来場者は驚いた様子。作品に近づくと、写真や文字の組み合わせで出来上がっているのが分かり、感心しながら鑑賞していた。作品は写真撮影が可能で、スマートフォンで撮影する人の姿もあちこちで見られた。
入善町上野の長田雅子さん(83)は「完成度にびっくり。95歳で楽しく作っていると思うと元気をもらえる」と目を細めた。黒部市三日市の新村ます子さん(76)は「色や文字の使い方や発想力が素晴らしい」と話した。
開会式もあり、セツさんの作品集を手がけ、展覧会を監修した出版社「里山社」(福岡県)の清田麻衣子さんが「日常を楽しんでいることが作品によく出ている。セツさんのエネルギーが伝わる会場になっていると思う」とあいさつした。
入場料は中学生以上が500円、小学生以下は無料。会期中無休。富山市民プラザと北日本新聞社主催。