2万7千株のハナショウブが根付かなかった菖蒲園=加賀市中央公園

2万7千株のハナショウブが根付かなかった菖蒲園=加賀市中央公園

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加賀市でハナショウブ600株満開

北國新聞(2024年6月13日)

 加賀市美谷が丘の北出武男さん(81)が、花好きだった亡き母から受け継いだ同市日谷(ひのや)町の畑で丹精するハナショウブ約600株が満開となっている。ハナショウブは市の花に制定されながらも、市内では整備された菖蒲(しょうぶ)園がいつしか荒れ果てて、観賞できるところはないとされ、北出さんの畑は隠れた名所となっている。

 日谷町出身の北出さんの畑は、2016年4月に93歳で亡くなった母ひささんが00年ごろ、ハナショウブやアヤメの栽培を始め、北出さんも手伝いながら一時期は市場に出荷していた。

 15年にハナショウブが市の花に制定され、自身も花好きで写真撮影が趣味の北出さんが畑を受け継いだ。出荷はやめたが、約40坪のハナショウブ畑に防草シートを敷いて管理を徹底し、株分けしながら約600株に増やした。

 見頃を迎えると、近隣の高齢者施設の利用者がバスから満開のハナショウブを楽しんでいるほか、北出さんが切り花を日谷町の共同浴場利用者や近所の住民にお裾分けしている。

 市内では、1993年オープンの市中央公園菖蒲園1万100平方メートルに、友好都市の新潟県新発田市から贈られたハナショウブ50種3千株を含む100種2万7千株を植えたが、土壌が合わず根付かなかった。2015年ごろからボランティアが手入れし、19年からは市も助成して栽培するものの、かつての光景を取り戻せていない。

 同市吉崎町の北潟湖沿いの湿地では、07年に町内会がハナショウブ約1300株を植え、吉崎菖蒲園として住民挙げて手入れを続けていた。元区長の桶田和芳さん(77)によると、塩水を含む湖水が浸水し、20年ごろに全滅したという。

 4月の市議会総務経済委員会で中谷喜英氏(昂志会)が「市の花を楽しめる場所がない。整備する考えはないか」と指摘。市は交流サイト(SNS)で市内のハナショウブの情報提供を求めたが、見つからなかった。

 北出さんは以前、畑からハナショウブ数株を持ち去られたことがあると言い、「畑に立ち入らずマナーを守ってもらえるなら、誰でも市の花をゆっくり楽しんでほしい」と話した。

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