「出山釈迦如来立像」に見入る来場者=金沢市の石川県立美術館

「出山釈迦如来立像」に見入る来場者=金沢市の石川県立美術館

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休日「祈りの美」堪能 まるごと奈良博

北國新聞(2024年7月8日)

  ●県立美術館で開催中

 金沢市の石川県立美術館で開催されている奈良国立博物館展「まるごと奈良博」は7日、至高の仏教美術と向き合う来場者でにぎわった。休日とあって大勢の地元客や家族連れが訪れ、時代や場所によって素材・表現が異なる仏像や仏画をじっくりと鑑賞。「祈りの美」を堪能した。

 平安時代に描かれた国宝「十一面観音像(じゅういちめんかんのんぞう)」は、絹地に描かれた十一面観音の仏画としては現存最古の作。千年近い時を超えても色あせない肌、細く切った金箔(きんぱく)で飾られた衣の美しさが、来場者のため息を誘った。

 十一面観音は、彫刻でも見る人を魅了した。奈良~平安期の重要文化財「十一面観音立像」はビャクダンの一材から彫り出された像で、緻密な彫りの技が特徴となっており、金沢市の山口洋子さん(82)は「お顔が何とも言えず美しくて見とれた。現代にまで伝えられてきた仏さんは全て美しい。お顔を見ると涙が出てくる」と語った。

 銅造の観音菩薩(ぼさつ)や如来の像を熱心に鑑賞した錦丘高1年の清水紳平さん(15)は「飛鳥時代の仏像の優しいスマイルが大好きで、展覧会の開催を待ちわびていた。特に古い時代の仏像は、素朴さが魅力だと思う」と話した。

 苦行後の姿を表した「出山釈迦(しゅっせんしゃか)如来立像」も人気を集めた。羽咋市の自営業中野秀人さん(66)は「苦行でガリガリに痩せたお釈迦さま、イケメンのガンダーラ仏と、いつもと違う仏さまを拝めた。お地蔵さん、阿弥陀(あみだ)さまと、知っているお顔を見ればほっとする。多彩な仏さまに出合えた」と語った。

 奈良博展は「ポスト国民文化祭」の目玉事業として県、県立美術館、北國新聞社でつくる実行委員会が主催し、国宝8点、重要文化財93点を含む計205点が展示される。前期は28日まで、後期は31日~8月25日に開かれる。入場料は一般1500円、大学生千円、高校生800円、小中学生500円。

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