県立音楽堂邦楽監督の野村萬斎さんによる「萬斎からのメッセージ」県内学校公演2024は8日、能美市根上総合文化会館で行われた。萬斎さんが構成・演出を手掛けた音楽劇「山月記・名人伝」が上演され、寺井高と根上中3年の約500人が情感豊かな萬斎さんの演技に見入った。
太鼓や尺八を用いた能狂言の手法を生かし、小説家中島敦の世界観を表現。山月記では、心の葛藤により虎となった李徴(りちょう)役を務めた萬斎さんが人間の理性を忘れていく恐怖や、詩を世に残したいと願う気持ちを情感豊かに描いた。名人伝では萬斎さんの長男・裕基さんが弓の名人を目指す紀昌(きしょう)を演じ、文字を視覚的に用いた演出が繰り広げられた。
公演は地元や被災地の生徒を招いて、9日に加賀市文化会館、10日に県立音楽堂でも開かれる。