改札口から出てくる北陸新幹線の利用者=富山駅

改札口から出てくる北陸新幹線の利用者=富山駅

富山県 北陸新幹線

北陸新幹線、富山県内3駅利用高水準

北日本新聞(2017年6月20日)

 北陸新幹線の2016年度の駅別1日平均乗車人数がまとまり、県内3駅はいずれも開業ブームに沸いた15年度と比べ、ほぼ横ばいだった。開業後1年で大幅に落ち込んだ宿泊者数とは対照的な結果となり、専門家は「半日観光の需要が増えるなどさまざまな要因が影響した」と分析。新幹線の利用促進に力を注ぐ各自治体は「官民を挙げた取り組みが実を結んだ」と評価している。 (社会部・柳田伍絵)

 JR西日本金沢支社によると、2016年度の1日平均乗車人数は富山駅は7843人(15年度比58人減)、新高岡駅は1988人(同59人増)、黒部宇奈月温泉駅は898人(同69人減)。金沢駅は2万2668人(同331人減)。乗車人数はJR西が運営する在来線の利用者も含んでいる。

 北陸新幹線開業から2年が経過しても、各駅の乗車人数や新幹線自体の利用者は高水準を維持している。今月15日には乗客数が2千万人を突破。16年3月14日~17年3月13日の利用者は前年同期比7%減の858万4千人だったが、在来線特急時代と比べると2・73倍。今年4、5月も同様のペースという。

 乗車人数が堅調に推移する一方、宿泊者数は一段落している。北陸信越運輸局によると、16年度に県内の宿泊施設に泊まった人は15年度比15・9%減の331万8940人だった。管内の他の3県に比べて富山の減り幅が最も大きかった。同運輸局は「15年は金沢市で宿泊施設が足りずに客が富山県に流れたが、16年はその現象が減った」と指摘する。

 北陸経済研究所(富山市丸の内)の藤沢和弘調査研究部担当部長は15~16年度は日帰りのビジネス客数に大きな変化はないと分析。乗車人数と宿泊者数のずれについて「さまざまな要因が影響しているが、県内では金沢市に泊まった後、新高岡、富山両駅を拠点に半日ほど観光し、宿泊せずに新幹線に乗る人が増えたのではないか」とみる。


■新高岡は唯一増加
 2015年度と比べて唯一、乗車人数が増えた新高岡駅。新幹線の速達タイプ「かがやき」の定期停車に向け、高岡市を中心に自治体や経済団体、自治会などが市民らへ乗車を働き掛けてきた。17年度は県外客の誘致に力を入れて利用拡大を目指しており、市は「施策の効果で持ちこたえたのではないか。定期停車の実現にはまだ難しい状況だが、今後も団体旅行客などを呼び込みたい」と話す。

 黒部市によると、宇奈月温泉の16年の宿泊者数は32万6639人で15年と比べ微減だった。新幹線開業前の14年比では約1・26倍と好調を維持しており、乗車人数の確保につながっているとみられる。市の担当者は「開業効果が維持されている」と分析。補助制度を充実させて通勤・通学での新幹線利用も増やしたい考えだ。

 富山市は「開業効果が減る中、安堵している」と歓迎。あいの風とやま鉄道や富山地方鉄道がダイヤの利便性向上に取り組んだことも奏功したとみる。

 県の総合交通政策室は、新たなホテルができるなど富山駅周辺の整備が進んでいることに触れ、「今から10年後には乗車数がさらに増えるのではないか」と期待した。

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