中央アルプス将棊頭(しょうぎがしら)山(2730メートル)直下で西駒山荘を運営する伊那市の第三セクター伊那市観光は20日、7月8日に予定する山荘の営業開始に向け、ヘリコプターで荷上げをした。保存が利くジャガイモやタマネギ、コメ、飲料水、携帯トイレなどを専用のネットで梱包(こんぽう)し、運び上げた。
作業には同山荘管理人の宮下拓也さん(40)=伊那市西町=ら7人が参加。ヘリは午前5時半ごろから、同市横山の鳩吹公園の駐車場と山荘を5往復し、計2150キロの物資を輸送した。
西駒山荘は、1913(大正2)年8月に中箕輪尋常高等小学校(現上伊那郡箕輪町箕輪中学校)の生徒ら11人が亡くなった集団遭難の2年後に、麓の住民らが避難用の石室(いしむろ)を造ったのが始まり。石室は現在も原形をとどめており、昨年8月に国登録有形文化財に指定された。
宮下さんによると、山荘付近は例年より残雪が多いが、その分、高山植物は長い間楽しめそうという。本年度は石室にまきストーブを新設する予定で、「歴史とともにぬくもりを感じに来て」と話していた。