福井県大野藩主土井家や家老内山七郎右衛門(しちろうえもん)良休(りょうきゅう)家などに残る正月の美術工芸品を紹介する新春特別企画展「藩主・家老のお宝特別公開」が1月5日、大野市の武家屋敷旧内山家など3施設で始まる。初公開の床の間用の飾り台「卓(しょく)」(市所蔵)をはじめ、びょうぶや掛け軸など6点を展示する。31日まで。
旧内山家で初公開されている卓は内山家の分家に残り、正月や祝い事など晴れの日に使用されたとみられる。奥行き30センチ、幅45センチ、高さ14センチ。表面には象嵌(ぞうがん)細工で尾羽が豪快に広がる鳳凰が施され、輪郭を彩る金糸や台の周囲を装飾する青貝の螺鈿(らでん)細工が華やかさを演出している。制作時期は定かではないが、市教委は8本の足で台を支える作りなどから唐物とみている。
市歴史博物館では、内山家に残された8曲1隻の中びょうぶ「紙本著色 遊鶴図屏風(ゆうかくずびょうぶ)」を公開。春、冬のそれぞれの景色の中で鶴が群れ遊ぶ様子が描かれ、ちりばめられた金箔(ぱく)がきらびやかさを増す。武家屋敷旧田村家には同家や土井家の掛け軸が並ぶ。
市学芸員は「ことし1年間の多幸を願い、大野藩の上級武士の生活を彩った調度品の中でも特に新年にふさわしい品を集めた」と話し、来場を呼び掛けている。
入館料はいずれも大人200円、中学生以下無料。大野商工会議所発行の「食べ歩き・見て歩きマップ」を利用して巡ると割引がある。