上伊那地方の昆虫食について考える「美味(おい)しい昆虫シンポジウム」が17日、伊那市創造館で開かれた。昆虫食を通じて地域の風土を学び、地域資源としての可能性を考えようと県上伊那地域振興局と同館が企画。約100人が講演や座談会を聞いた。
長野市出身の昆虫食研究家、内山昭一さん(68)=東京=は、蚕の卵や幼虫、さなぎに桑の葉を添えた丼やカミキリムシの幼虫「ゴトウムシ」のにぎりずしといった昆虫料理を写真で紹介。イナゴは江戸時代の書物にいって食べると香ばしくておいしいと記され、高タンパク低脂肪で「ダイエットに効果的」とした。また、福島県内ではイナゴを捕って給食で食べていた学校があったが、2011年の東京電力福島第1原発事故後に中止されているとし、「食文化が消えてしまうのは残念」と述べた。
座談会では、伊那谷の伝統食でトビケラやカワゲラなどの幼虫の総称「ざざ虫」の研究家、地バチ(クロスズメバチ)愛好会の会長らが登壇。「上伊那の昆虫食文化を考える」をテーマに語り合った。会場ではイナゴやざざ虫の試食、販売もあった。