■仏像修復技術を活用
魚津市金浦町の工房ヤマセン辻佛檀は、捨てられるはずだったカニの甲羅に漆を塗り、漆器としてよみがえらせている。カニの甲羅は市内の飲食店から提供を受け、欠けていたら仏像修復の技術で直す。4代目の辻悟さん(41)は、カニ漆器に海産物を盛り付けることで、魚津の食のPRに役立ててもらおうと、"カニ漆器"の活躍を期待している。
魚津市はカニ籠漁発祥の地とされ、伝統工芸の魚津漆器も息づいている。辻さんは魚津の食と工芸の歴史を伝えようと、2016年からカニ漆器を作りに取り組んでいる。
カニ漆器は、ベニズワイガニやズワイガニ、コウバコガニの甲羅を再利用。甲羅を洗って乾かし、漆を塗り重ねていく。欠けや割れの修復には、和紙で補強する魚津漆器の昔ながらの技法「一閑(いっかん)張り」などを活用。1カ月半から2カ月かけて完成させる。
当初は使い方が思い浮かばず、甲羅の入手先も限られたため、細々と扱ってきた。今年2月に東京で開かれたギフトショーで評判が良く、生産に力を入れることにした。今後、市内の飲食店で試験的に扱ってもらい改善点を探る。
辻さんは「海から生まれた漆器で、魚津の豊富な海の幸をおいしく食べてもらえたらうれしい」と話す。
カニ漆器はサイズで価格が変わり、3千円~4500円(税別)。問い合わせは工房ヤマセン辻佛檀、電話0765(22)2405。