福井県大野商工会議所は7月1日、地域団体商標に「越前おおのでっち羊かん」が登録されたと発表した。大正時代から愛されるでっちようかんは、名水に恵まれた大野が誇る冬の味覚。市内14店が秋から春にかけて約2万箱を製造・販売している。中部縦貫自動車道の全線開通や道の駅整備を見据え、商標マーク入りの共通パッケージで売り出すなどPRを強化していく。
地域団体商標は、地域ブランドの促進などを目的に2006年に導入された特許庁の制度で、地域名と商品名を組み合わせた名称を商標として登録できる。同市での登録は「越前さといも」に続いて2件目で、県内では18件目。6月7日付で登録された。
でっち奉公に出た人が里帰りから戻る際、土産にしたことからでっちようかんの名が付いたといわれる。大野の名水と小豆で仕上げたでっちようかんは、一般的に販売される水ようかんの2倍の厚みで、しっかりした弾力がある。黒砂糖を使用し、甘みに加えてコクがある。
大野の食文化のPRや観光客の誘客につなげようと、同会議所が15年3月に出願。商標取得には市外でも評価と知名度がなければならないため、同会議所は福井市のハピリン内の市観光物産館「福福館」での無料配布や石川県のメディアを通じたPR活動を続けてきた。
また11年からは毎年2月に、市内のでっちようかんが一堂に味わえる「でっち羊かんまつり」を開催。延べ10万人以上が来場し、大野のでっちようかんの知名度アップをけん引してきた。
大野菓子組合の毎川利和組合長は「国に認められたブランドということで、関心を持ってもらえると思う。福井といえば大野のでっちようかんと言ってもらえるように、組合としてもPRに力を入れたい」と話していた。