節分を前に、福井県敦賀市の菓子店で大豆を使った伝統菓子「豆らくがん」の製造がピークを迎えている。大豆の粉末をお多福型の型に入れて焼き上げ、市内では古くから縁起物として親しまれる菓子。ネットを通じて県外にも人気は広がり、愛らしい見た目と手作りの懐かしい味を伝えている。
豆らくがんは江戸末期に製造が始まったとされる。北前船から陸揚げされた大豆を使い、気比神宮の祭神・神功皇后をイメージして作られたという。現在は市内の複数の菓子店が製造している。
最も売れるのは節分前とあり、銘菓処笑福堂(昭和町2丁目)では今月下旬から2月初めにかけ、職人2人が普段の約60倍となる1日6千個を手作り。27日も製造に追われていた。
豆らくがんは、大豆の風味が詰まった素朴な味わいと食べ応えのある硬さが特長。粗びきした大豆に水あめなどを混ぜた粉末を、職人が指先に体重をかけながら型に押し込み、次々と網の上にお多福型のらくがんを並べていった。
温度や湿度に合わせ、職人が原料の配分などを微妙に変えるといい、高い技術が求められる。成型後、約6時間かけて乾燥し、1時間半から2時間焼いてできあがる。
同店では市内を中心に販売し、ネットを通じて全国にも発送している。製造本部長は「手間を掛けて作っている分、素材のおいしさが詰まっている。体の中に"福"を入れてもらえたら」と話している。