奈良の東大寺二月堂へ福井県若狭から水を送る伝統神事「お水送り」が3月2日夜、小浜市神宮寺の若狭神宮寺や同市下根来(しもねごり)の「鵜の瀬」周辺で営まれた。たいまつや護摩壇の炎が闇夜の川面を幻想的に照らす中、送水神事が行われ、白装束姿の山河尊聖住職が遠敷川に御香水(おこうずい)を注いだ。
午後7時半ごろ、同寺境内で営まれた大護摩法要の炎を使い、白装束の一行がたいまつを点火。同川沿いを約1・8キロ上流の鵜の瀬に向けたいまつを手に歩き、一般参加者も行列に続いた。
午後9時ごろ、鵜の瀬に到着した山河住職らが遠敷川の対岸に渡り送水神事が始まった。新型コロナウイルス感染拡大を受け、見物客は例年より少なかったが、竹筒から川へと御香水が一筋に注がれる神秘的な空間をじっと見守っていた。
若狭地方の早春の風物詩。御香水は遠敷川から、東大寺二月堂の井戸「若狭井」に届くとされ、12日に行われる「お水取り」でくみ上げられる。