加賀友禅の技法や装飾性を生かした明かりが完成した。華やかな友禅のシェードを支えるのは、和傘の骨。加賀友禅、和傘の伝統の技と光を融合させ、金沢市の「金沢ブランド工芸品」開発促進事業で制作した。現代の生活空間にも合う照明として、ホテルや旅館、商業施設などに提案する。
明かりを制作したのは、加賀友禅「毎田染画工芸」(本多町3丁目)の毎田仁嗣(ひとし)さん。金沢クラフトビジネス創造機構が昨年開いたセミナーで、和傘の照明器具を手掛ける日吉屋(京都市)の西堀耕太郎さんと出会い、加賀友禅とのコラボレーションを持ち掛けた。
雪づりを思わせる円すい形の照明は、絹地に手描き友禅で桜やモミジ、雪など四季を描いており、白い胡粉(ごふん)を塗り、明かりをともすと絵柄が浮かび上がる仕上げにした。光による退色も防げるという。
和傘にも用いる和紙の明かりは、色づいたモミジのデザインとなる。透明のインクを使い、明かりをともすとモミジの影が浮かぶ。色鮮やかな円柱形は堅牢(けんろう)度の高い化学繊維を使用した。
手描きのオーダーメードはもちろん、プリント、素材を組み合わせることで、価格面にも柔軟に対応し、幅広い施設への導入を目指す。
床の間に置かれた工芸品一つで部屋の雰囲気が変わるように、照明として置くだけで金沢らしい華やぎを演出することが理想という。
店舗や宿泊施設の回廊や渡り廊下、日本庭園などに置いてもらうイベントなども計画しており、毎田さんは「光と友禅は相性がいい。県外や海外の方に、加賀友禅の魅力を伝えたい」と話した。