福井県小浜市国富地区に3月上旬から飛来している国の特別天然記念物コウノトリが、同市旧国富小の人工巣塔にいるのを区民に相次ぎ目撃された。3月15日にはペアが降り立ち求愛行動も見られたという。人工巣塔は2019年に閉校した同小のモニュメントとして設置され、とまる姿が確認されたのは初めて。地区住民はひな誕生を期待している。
同地区は、1964年に野生のコウノトリのひなが国内で最後に確認された場所。同小はコウノトリをテーマにした環境学習に長年取り組んできたため、閉校に伴いコウノトリが営巣できる人工巣塔を設けていた。
地区住民でつくる「コウノトリの郷(さと)づくり推進会」の男性によると、「12日に巣塔にとまる1羽が確認され、14日には2羽に増えていた」といい、巣塔にコウノトリがとまったのを確認できたのは今回が初めてという。2羽は足輪から2018年4月に島根県雲南市、同年5月に兵庫県養父市でふ化したそれぞれ雌と雄とみられる。
15日は午前、同市国富保育園の園児らが散歩中に巣塔にとまるコウノトリを見つけた。男性が確認に向かうと、2羽は約15メートル上の巣台でくちばしをカタカタ打ち鳴らす求愛行動「クラッタリング」を取ったり、巣塔の下に降りて餌をついばむ姿が見られたという。
男性は「あと1、2月で2羽は3歳になり、繁殖活動を行えるようになる。また国富地区にひなが生まれ定着してくれるとうれしい」と話していた。